正の数【せいのかず】
比奈が泣いている…
本音を聞くなら今かもしれない…
「比奈…?」
「ん?」
「どうして…人殺しを…?」
「えっ…」
比奈が激しく動揺している。
だけど今は比奈の口から出る言葉を信じたい。
「私…殺すつもりなんてなくて…
でも…バッドで何回も何回も殴ったら
死んじゃってて…
私…殺すつもりなんてなかったのよ!!
それで気が付いたら…
こうやって毎晩泣くの…
お母さんとお父さんが死んでから…
私可笑しいのよ…信じて…」
比奈が、ちゃんと話してくれた。
それだけですごく嬉しい。
でも、問題は…
比奈にも正の数が付き始めた事。
「比奈…これ見て…」
俺がクロいノートを取り出し
比奈のページを開けると
昨日よりも正の数が増えていた。