衆議院議員◇真実 一路◇



「証拠ならあるぞ!」


「なにっ!」


これには幹事長も驚いていた。


完全にチェックメイトだと思っていたこの論争に、思わぬ反撃を受けたからだ。


………しかし、証拠っていったい?



「面白い!ではM大臣、その証拠とやらを伺いましょうか!」


「私はSM などという趣味は全く無いし、そもそも『女王様』など全く興味が無い!……何故ならば………」


「何故ならば…?」















「私は、『ゲイ』だからだ!」



「・・・・・・・・・」


国会でその事を告白した時のM大臣は、まるで出陣を決意した戦国武将のように堂々としていた。


私は、人類平等の観点から言って同性愛者を特に差別するような考えは持っていない。


ただ、現在の日本の社会では、まだゲイの国会議員を広い心で容認する土壌は十分には出来ていないようである。



その時、私の視線の先でこの論争の一部始終を黙って見ていたヤベ総理が、こう小さく呟いたように見えた。





「解散だ………」



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