【完】Rose.
自信、…そうかもしれない。
がむしゃらに頑張って今の立場を得たけれど、果たして中身はあったのだろうか。
私は、自信を持って今のスタイルを誇れるだろうか。
「……貴女は、ご自分の力を自覚していらっしゃらないようだ」
「…自覚、ですか?」
「えぇ、発揮出来る力は、まだまだある。もっと飛躍出来ますよ」
―飛躍、…高く、飛び上がること。
「やらない後悔なら、やってから後悔しましょう。…私は貴女なら、出来ると思います」
強い力に満ちた眼差しは、今までをがむしゃらに、自信の無さを走ることでごまかしていた私を、立ち止まらせる。
「………飛躍、出来るんでしょうか」
「…えぇ、絶対に。…私がサポートします」
……どうして、この人はこんなにも私を強く引っ張るのだろう。
会ったことも無い、初対面の人間に、ここまで力強い安心感を抱かせるなんて、私には出来ない。
この若さで、専務取締役に就くくらいだものね。
そんな人に、偶然とはいえ目をかけてもらえたんだ。
この歳で、将来も未だに見えない私に巡ってきた、最後のチャンスかもしれない。