【完】Rose.


がむしゃらに勝ち取った今の立場も、自分より上の人間からは圧力をかけられ、部下と言える人間からは不満をぶつけられるばかり。


課長と言っても、お飾り。


そう言われたのを思い出す。


私の何がいけないんだろう。


そう悩んだことは数えきれない。


けれど冷静に考えれば、自分の仕事を棚に上げて、ただ走っていただけ。


もっと上手く、職場の潤滑油として役目を果たすべきなのに。


―自信が無い。


そう、根本原因はそこにある。


自分の存在意義を、価値を見出だしたくて。


認められたくて、必要とされたくて。


周りなんかお構いなしに突き進んで来た。


会社という小さな世界でそんなことをしていては、すぐに孤立してしまう。


私がここまでなんとか立っていられたのは、部下や上司に比較的恵まれていたからだ。


他の部署で、孤立して行く同僚を多く見てきたのに。


狸おやじと言えども、だらし無く髭を生やす部下でも、感謝を忘れていた。


そんな私でも、まだ、チャンスはある?


あるのなら、やり直したい。


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