【完】Rose.
けれども、どんなに悩んでも朝は必ずやってくるわけで。
朝から鏡と睨めっこ状態。
「…こんなんで、いいか?」
胸より下の髪は、美容院で淡いブラウンに染めてもらった。その髪を毛先だけ緩く巻いて、ハーフアップで纏めてみる。
うん、それだけ。
メイクはいつもより少しだけ、明るめに。
もともとハッキリした顔立ちだから、あまり濃いとけばけばしい。
最近放置しっぱなしだったピアスホールに、これまた専務から頂いたピアスを装着。
…一粒ダイヤのような気がしないでもない。
まさか、はは。
ビビりながら、首元にはピアスとお揃いのシンプルなネックレス。
…あぁ、小さくて軽いはずなのに重いわぁ。
最後に等身大の鏡でチェックを入れて。
…身体に吸い付くような、綺麗なスーツ。誂えたようにピッタリで、驚いた。
艶やかなブラックに、僅かに見えるストライプ。
袖は肩口が少しパフスリーブになっていて、大袈裟にならないドレッシーさ。
スカートはタイトに引き締められて、膝が少し出るくらい。
歩きにくいわー。
パンプスは、ブラックスーツに合わせて黒のピンヒール。
ヒール部分には、同色のリボンがさりげなく結ばれていて、セクシーさの中に、愛らしさが隠れている。