【完】Rose.


カツカツカツカツ


ヒールの音までカンに障る。


……早すぎる更年期か?


28で?……さすがにそれはないわな。


ただたんに、私が短気なだけ。


「…あぁー、もーいや」


なんかいや。


いい歳してなに言ってるのかしら。


環境が変わったくらいでこんなんじゃあ、到底、潤う、なんて無理だわ。


「…皆、よくやってるよなぁ…」


「なにをよくやってるんですか?」


へ?


「…ぎゃあぁ!……せ、せせ、専務?!」


びっくりしたわ!


「はい。専務です。おはようございます」


ニコッなんて言葉が、顔の横に出てそうな笑顔でいらっしゃる、専務。


いや、いやいやいや!


そんなことどうでもいいのさ。


「……いつからそこに?」


「あぁ、すみれさんをお迎えしようと、少し前から」


ひぃいぃ!


そうよココハ役員室のある階ダワヨなにやってんの私!!


「……じゃぁ、…じゃあ…」


…私がカツカツ、キレ顔でエレベーターから降りてきたのも、でっかいため息ついたのも、さらには頭抱えて愚痴って独り言言ってたのも、全部…


「…全部…見てました?」


「…はい。でも、可愛らしかったですよ?とても」


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