【完】Rose.
…えー、とかなんとかぬかしてる専務を構う余裕なんて全く無い。
……私本当にこの人といると余裕無くなるんだけど。
一体全体何物なのよ、貴方は。
「はぁ……」
身体から、気が抜けてしまった。
私今からちゃんと仕事出来るんだろうか…。初日なのに。
「…すみれさん、」
…今度はなにが来る。
「今日、とっても素敵です。似合ってますよ」
言い忘れてました。今までの感じも好きですけど。そうサラっと言ってのける、目の前の男。
「………」
サラっと近寄って来たかと思いきや、
「…でも、さっきのぎゃあってのは、傷ついたなあ」
「………」
「…お詫びのしるし、くれますよね?…ということで、ランチは空けておいてくださいね」
そう耳元で囁いて、
さぁ、そろそろ仕事しましょうか。行きますよ〜。
と先へ行く後ろ姿を見送った。
「………ぃーっ!!」
声にならない叫びをあげてやった。
役員室がたくさんある、ロビーで。
天井に向かって。
……けど、声出して叫びてぇえ!!
足はドンドンと踏み鳴らしてしまったけれど、防音みたいだから大丈夫。……多分。……知らないけど。