【完】Rose.
「…それでも、こんな、私でも、側に置いて、くれますか?」
間違ったら、叱って欲しい。
見捨てないで、諦めないで、側にいて。
「…私も、愛して、ます。…大好き、です」
きっとそれは、貴方に出会ったあの時から。
『……秘書、ですか?』
そう、力に満ちた強い眼差しに、とっくに捕われていた。
「当然です」
そう、一言、それだけ言って、貴方が私を引き寄せて、強く強く抱きしめた時。
貴方の胸の、早く大きな鼓動を聞いた時。
初めて、愛される喜びを感じたの。
こんなに早く。
こんなに鋭く。
こんなに強く。
私を捕まえた貴方。
どうか、いつまでも。
私を離さないでいて。
強く強く、抱きしめていて。
貴方は私を虜にしたんだから。
ずっとずっと、側で、私に水を注いで欲しい。
貴方の側でなら、枯れることなく、咲いていられるから。
強く美しく、凜と咲いた薔薇の花。
誰もが魅了される美しさ。
棘があるから、惹かれるんです。
鮮やかに色づく花びらも。
チクリと刺さる、棘も。
全てを含めて、薔薇という花。
難しくとも、全てを受け入れて、自分だけの花を、美しく、咲かせたい。
これからも、ずっと。
end.
2012.11.1