【完】Rose.
あの通勤ラッシュの電車には、意地でも乗らない。
どうしてかほぼ毎日、痴漢現場を目撃し、撃退、駅員室に連行するはめになるのだ。
駅員さんとも三回目くらいから顔見知りになり、
『また貴女ですか〜、いやご苦労様です』
なんていらぬお礼を頂いてしまう。
私なんて痴漢に遭ったことすら無いわ。
いや、遭わないのが一番だから喜ばしいことなんだけれど。
…なんかもう一生こんな感じで生きて行きそう。
ははーん、なんて、本当に、このままでいいのかしら。
それに加えて会社での立場と言えば、総合職で頑張って来たおかげで課長職につけたはいいが、女と言うだけで偏見の眼差しを向ける人間もいる。
行き遅れた女が意気がっているだけ。
何度となく耳にした。
その度に仕事に没頭して来た。
悔しくて悔しくて、けれどぶちまけるなんて出来なくて、そんな行き場の無いストレスをぶつけられるのが仕事だった。
だから気が付けば成績は右肩上がり。
最近では課長と呼ばれることにも慣れ、部下に指示を出すのも板についてきた。