【完】Rose.
だから、彼女と話が出来た時には、舞い上がる、その言葉がピッタリあう気持ちだった。
学生時代、まだまだ子供で、それはもう遊びまくっていた俺。
自分から勝負するのは嫌で、勇気も出せない。
そのくせ、去るもの追わず。
来るもの拒まず。
相手の感情なんて、考えもしなかった。
だから、
『…っ、最低!』
そう言って、当時付き合っていた恋人に頬を打たれても、まぁ、仕方ない。そんな感情しか抱かなかった。
でも、そんな俺の根性を叩き直してくれたのは、あの時憧れるしか出来なかった、あの彼女だった。
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『…痛ぇー』
爪、長すぎるんじゃない?
凶器だ、凶器。
『…あー』
こんな顔で戻れば、周りに何を言われるか。
本当に、面倒臭い。
ふぅ、と芝生に寝転んで、空を見上げて。
空は真っ青、俺は真っ黒。
そんなことを考えて、少し眠ろうと右腕で目元を覆った、その時。
『…痛みませんか。頬』
あー、うん、痛いよ。
痛いけど、今冷やすもの無い、……。
『…ん?!』