【完】Rose.
そこから、7年。
こんな風に、幸せを噛み締められるなんて、あの時からすれば、考えられなかった。
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「…ゆ、ゆ、ゆ、ゆき、雪斗さん」
噛みすぎじゃない?
なんて言いません。
可愛すぎる、と言っても余計に緊張するだろうから。
自然に、自然に。
胸の内は、デレデレ。
「はい?」
「…コーヒー、入りました」
少し俯いて、真っ赤な顔を隠す彼女。
サラサラの髪が、肩からハラリと落ちていて、視線を奪われる。
「………」
「…?雪斗さん?」
「…幸せ、だなぁと、つくづく」
「!」
目を見開いて、固まる彼女。
きっと、こんな言葉を彼女は聞いたことがない。
彼女がどんな環境で、どんな時間を過ごしたのか、俺は知らない。
だけどもし、辛い思いを抱えているのなら、それさえも愛しく想うから。
全てを包み、守りたいから。
もうお腹がいっぱいだと、笑って貴女が言ったとしても、言い続けるよ。