【完】Rose.


業務が落ち着いて来た頃、部長からお呼びだしがかかった。


なにかまずいことでもあったのだろうか、そう考えながら部長室をノックする。


―コンコン


「失礼いたします。第二営業部の水木です」


入りなさい、と言う言葉にドアを開けて中へ入る。


ドアを閉めて一礼して、視線を上げると、


「………」


目の前のソファーに座っているのは、部長…と…?


誰だろう?


どこかで見たことが、あるような無いような。


…多分後者。


けれど、めちゃめちゃ男前だ。


仕事中に不謹慎極まりないけれど、言わせて欲しい。


今まで見て来た男はなんだったんだってくらい、いい男。


艶やかな黒髪は、後ろにふわりと流されていて、適度に遊んでいる感じ。


涼やかな目元は色気が漂っていて、見つめられるとちょっとやばいかも。


顔は小さいし、背は絶対に高い。


足も長いだろう、ソファーと机の間で窮屈そうにも見える。


私としたことが、すっかりその人に視線を奪われた。


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