【完】Rose.
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「………はい?」
今、なんて言った?
「……秘書、ですか?」
おいおい、マジかよ。
「ああ、こちらの高城専務がご希望なんだよ」
恐る恐る、左隣りに視線を向けてみる。
「……!」
ぎゃぁっ!こっち見てるっ。
その微笑みは反則じゃない?!
なんなのそれ、わざと?!
カチカチに固まる身体に反して、頭はパニック大忙し。
「…でも、あの、今の仕事が…、ようやく慣れて来た感じで、…まだまだ忙しくて…」
…っだぁあ!ぐっだぐだ!
なに言ってんだ私。
「……とにかく、難しいんです…」
…あぁ、もう、情けない。
乱されっぱなし。
考えればこの高城専務という人は、一言しか発していない上に微笑んだだけ。
なのにこちらは相当なダメージ。
秘書なんてダメ、無理、絶対に無理!
なんか、情緒不安定で泣きそうだわ。
―ギシッ
ソファーが軋む音がして、隣で身体を動かす気配がした。