不良に口説かれて恋にオチました
「やっぱり俺、あの人には勝てなかったんだ」
爽は「ははっ…」といって笑うとあたしを下から覗き込んできた。
「希美先輩、こんな俺だけど…今度からは友達として接してくれる?…変な気遣いとかナシで」
「あたしと友達に…?」
「俺、希美先輩と話せなくなるのはヤだもん。…それぐらいはいいよね?」
そう言われてあたしは何度も頷いた。
「じゃあ、これからは友達ってことで!」
そう言われて目の前に差し出された手。
あたしは爽の手を強く握った。
「…じゃあ、俺帰るね。希美先輩、ひとりで平気?」
「時雨が教室で待ってるから…」
「そっか!分かった」
爽はそう言って図書室から去っていった。
「ホントに好きだった…」
扉の近くでポツリと聞こえたけど、
あたしは気付かなかったふりをして目を外に向けた…。