Only You
 私は何気ない彼の一言にいちいち感動させられてしまって、食事中にちょこっと彼が言った一言に涙してしまう事もあった。
 そんな私を見て、彼はいつも優しく微笑む。

「琴美……君はビー玉みたいだね」
「ビー玉?」

 意外な言葉を聞いて、私は少し驚く。

「透かして見てみると綺麗な色のマーブル模様のついたあの綺麗なガラスの玉。君はあの粒に似てる」
「そんなに綺麗かな……私」
「綺麗だよ。そんな心を見せてもらえる僕の方が、本当は泣きたいぐらいなんだけどね……男だから、涙は見せないよ」

 不自然が無い彼の笑顔。
 そんな美しい笑顔をする彩人が私を綺麗だと言っている。
 どうして彼は私をこんなにも内側から愛してくれるんだろう……。

「綾人、あなたの強さはどこからきてるの?本当に信じられないほど安定してるけど……どうして?」

 私はずっと彼がいつも穏やかなのは、彼が恵まれて育ったせいだと思っていた。
 容姿も頭脳も運命も……全てバラ色だったせいなんじゃないかって。

 でも、意外な彼の生い立ちを聞いて驚いた。

「琴美には言ってもいいかな。僕はね、両親を随分前に亡くしてるんだ」
「えっ……そうなの?」

 つらい過去を、彼は事もなげに微笑んで答える。

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