Only You
 まったりとした朝の時間も過ぎて、とうとうお昼になってしまった。
 私はパジャマのまま台所で適当なお昼ご飯を作る。
 二人分作る料理は、一人分を作ってたときより楽しくて、つい鼻歌が出てしまう。
 「JYO」さんの曲を何曲か歌ってみた。
 料理に元気もプラスされる感じがして、出来映え上々のオムレツが出来上がった。

「綾人、ランチできたよ!」

 何だかJYOさんを気に入ったみたいで、何度も録画を巻き戻しては再生していた彼を呼ぶ。

「うん、ありがとう」

 二人でパジャマのまま休日ランチ。
 オムレツと、ソーセージと、フランスパンとオレンジ。
 こういう洋風なものも実は二人とも大好きで、外食の時はだいたいイタリアンだったりする。

「琴美の手作り食べ慣れてきたら、最近外食のより美味しい気がしちゃうんだよね。毎日平日は外食になっちゃうんだけど、最近美味しいところに当たらないんだ」
 オムレツを半分ぱくっと食べてしまって、彼は嬉しそうにそう言う。
 こんなに喜んでくれるならお弁当だって作ってあげたいけど、天海さんの事を考えるとそれも出来ないなって思っちゃう。
 遠慮する訳じゃないんだけど、綾人が気まずくなるのが申し訳ないし。

「こんな料理でよければ、ずっと作るからね」
 
 私はちょっと潤んだ目をごまかすみたいに、すっぱいオレンジを口に入れた。

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