Only You
 時計の秒針の音が消されるように、私達のキスの音が響く。
 チュッと軽く鳴っていた音がそのうち、二人の息遣いに変わった。

「琴美。愛してる……」

 キスの合間に何度もささやかれる愛の言葉。
 私は呼吸が出来なくてしばらく無言だったけど、少し落ち着いた頃にやっと自分の言葉を語る事ができた。

「私も愛してるよ……綾人。私の中では綾人の存在は信じられない程大きくなってる。あなたの肌の温もり……忘れたくない」

 そう言い終わらないうちに、綾人は何も言わずに私の服を脱がしはじめた。
 恥ずかしさでいつもはその動きを止めてしまう私も、彼の動作に従って体を動かした。

 下着だけになった私をぎゅっと抱きしめてから、綾人自身も自分の着ていた服を全て脱ぎ去った。

「寒いね……毛布ぐらい持ってくるね」

 部屋の電気を常夜灯にして、暖かい毛布を私の体に巻きつけてくれた。

「暖かいけど……綾人の肌が感じられないよ」
「じゃ、僕も毛布に入るよ」

 そう言って、彼は二人で巻きつくように毛布をかぶり直した。
 綾人の滑らかな肌に初めて触れる。
 私は自然にその胸元にキスをして、彼の肌にぴったりと体を寄せた。
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