Only You
【続編】距離という敵
01 欲張りな心(SIDE綾人)
琴美の居なくなった部屋。
植物たちも寂しがってるように見えて、水をやる時にその気持ちを分け合う。
「お前たちも寂しいよな?ご主人様がいないんじゃ……つらいだろ」
なんて話しかけてる自分が、多少滑稽に見えなくもない。
一人暮らしは慣れている。
ずっと独りだったんだ……全く問題ない。
そう思っていたのに、琴美の居なくなった部屋に帰るのは、とんでもなく寂しかった。
「おかえり!サンマ100円だったの。美味しいよ」
笑顔で玄関先に出てきた琴美を思い出す。
毎日美味しい食事を作って待っていてくれた。
どんなにお互いの仕事状況がつらい時も、何故かそういう愚痴を言うより全く関係のない話をしていた方がずっと幸せな気分になれた。
そのせいで嫌な事は忘れてしまうぐらいだ。
琴美はエルのおかげとか綾人のおかげと言って、自分の成長ぶりを全部僕のおかげだと言っていた。
でも僕は分かっていた。
あの強さは琴美本人が本来持っていたものなんだって。
それはメール交換していた頃から知っていた。
弱々しい言葉を連ねていたけれど、諦めて後ろを向かずに先に足を進めようとする意志がところどころに見えた。
だから、僕はその部分をクローズアップしてやっただけで、特に何かしたという覚えは無い。
見た目の事を相当気にしていたけど、僕の人間を判断する際に使う価値基準に「顔が良い・悪い」という事は全く入ってないから、琴美が何を気にしているのかほとんど理解不能だった。
琴美は心が美しい。
それだけで彼女をとりまくオーラが暖かいのが分かった。
植物たちも寂しがってるように見えて、水をやる時にその気持ちを分け合う。
「お前たちも寂しいよな?ご主人様がいないんじゃ……つらいだろ」
なんて話しかけてる自分が、多少滑稽に見えなくもない。
一人暮らしは慣れている。
ずっと独りだったんだ……全く問題ない。
そう思っていたのに、琴美の居なくなった部屋に帰るのは、とんでもなく寂しかった。
「おかえり!サンマ100円だったの。美味しいよ」
笑顔で玄関先に出てきた琴美を思い出す。
毎日美味しい食事を作って待っていてくれた。
どんなにお互いの仕事状況がつらい時も、何故かそういう愚痴を言うより全く関係のない話をしていた方がずっと幸せな気分になれた。
そのせいで嫌な事は忘れてしまうぐらいだ。
琴美はエルのおかげとか綾人のおかげと言って、自分の成長ぶりを全部僕のおかげだと言っていた。
でも僕は分かっていた。
あの強さは琴美本人が本来持っていたものなんだって。
それはメール交換していた頃から知っていた。
弱々しい言葉を連ねていたけれど、諦めて後ろを向かずに先に足を進めようとする意志がところどころに見えた。
だから、僕はその部分をクローズアップしてやっただけで、特に何かしたという覚えは無い。
見た目の事を相当気にしていたけど、僕の人間を判断する際に使う価値基準に「顔が良い・悪い」という事は全く入ってないから、琴美が何を気にしているのかほとんど理解不能だった。
琴美は心が美しい。
それだけで彼女をとりまくオーラが暖かいのが分かった。