Only You
付き合って欲しいと言ったら、彼女は綺麗な瞳を潤ませて涙をこぼした。
あの美しい涙を僕は忘れない。
自分に自信が無かった彼女が、少しずつ成長を見せはじめた瞬間だった。
その後の琴美の成長には本当に僕も驚かされる事が多くて、とうとう仙台転勤の話まで僕に相談無く決めてしまうほどになっていた。
長坂が彼女を連れて行った事は、正直相当面白くなかった。
確かに琴美は当たりがソフトだし、長坂のやや可愛げのない営業っぷりに彼女を加えるのは効果的なのは分かった。
恐らく長坂もそのあたりの事は計算済みなのに違いない。
ただ、あいつは琴美の良さに気付いた男だ。
強引でも無いし、紳士だ。
だから、逆にうっかりしたら琴美を奪われるかもしれないという焦りは消せない。
琴美を信じてない訳ではなくて、距離が開くとどうしても感じてしまう寂しさがそういう焦りに気持ちをつなげてしまう。
今日も独りでアパートに戻る。
琴美がレンジで食べられるようにって、冷凍のおかずを用意してくれていたから、僕はご飯を炊くだけでよかった。
本当に何から何まで僕の方がお世話になってきている感じで、やや寂しさが増す。
二人で食べた時には輝いていたおかずも、何故か独りだと色あせる。
胃袋に流し込むけれど、味わうという気持ちになれない。
琴美が作ってくれたものなんだから、当然うまいんだけど……心が満足してくれない。
あの美しい涙を僕は忘れない。
自分に自信が無かった彼女が、少しずつ成長を見せはじめた瞬間だった。
その後の琴美の成長には本当に僕も驚かされる事が多くて、とうとう仙台転勤の話まで僕に相談無く決めてしまうほどになっていた。
長坂が彼女を連れて行った事は、正直相当面白くなかった。
確かに琴美は当たりがソフトだし、長坂のやや可愛げのない営業っぷりに彼女を加えるのは効果的なのは分かった。
恐らく長坂もそのあたりの事は計算済みなのに違いない。
ただ、あいつは琴美の良さに気付いた男だ。
強引でも無いし、紳士だ。
だから、逆にうっかりしたら琴美を奪われるかもしれないという焦りは消せない。
琴美を信じてない訳ではなくて、距離が開くとどうしても感じてしまう寂しさがそういう焦りに気持ちをつなげてしまう。
今日も独りでアパートに戻る。
琴美がレンジで食べられるようにって、冷凍のおかずを用意してくれていたから、僕はご飯を炊くだけでよかった。
本当に何から何まで僕の方がお世話になってきている感じで、やや寂しさが増す。
二人で食べた時には輝いていたおかずも、何故か独りだと色あせる。
胃袋に流し込むけれど、味わうという気持ちになれない。
琴美が作ってくれたものなんだから、当然うまいんだけど……心が満足してくれない。