Only You
02 伝わらない心(SIDE琴美)
綾人と離れて生活をして3ヶ月。
仙台での穴埋めは私と長坂さんでどうにかなったようで、会社側は新しい人をなかなか入れようとしない。
求人もしてないようだし、あわよくばこのまま私と長坂さんでここの仕事をリードしてもらいたいような空気さえ漂わせている。
「会社もうまいよな……」
車に乗るなり、長坂さんはそうつぶやいた。
「俺が東京を抜ければ嫌でも笹嶋が全部背負ってさらに必死になるのが分かってるんだろう。仙台がフヌケな状態になった所に俺みたいな猛烈社員を入れたら、それなりに引き締まるし」
この人がこんなに語るのはめずらしい事で……何と答えたらいいのか分からない。
「ねえ、遠藤さんはどう思う?」
「いえ、どう……と言われましても」
私の計算ではあと数ヶ月で東京に戻る予定なのに。
このまま仙台留まれなんて言われたらどうしよう。
これが私の本音だけど、長坂さんに言えるはずがない。
「タバコ吸っていい?」
車のウィンドウを半分開けて、長坂さんが一本のシガレットを口にくわえた。
営業の人はほとんどスモーカーだ。
吸ってないのは男性では綾人ぐらいじゃないだろうか。
「ええ、どうぞ」
「こういうのに頼らないとストレスが際限なく溜まるんで……どうしようもない。弱い人間だよ」
なるべく車内に煙が溜まらないように外に向かってフーッと息を吐く。
その横顔がシャープすぎる彼の顔をより厳しく見せて、何だかゾクッとする。
仙台での穴埋めは私と長坂さんでどうにかなったようで、会社側は新しい人をなかなか入れようとしない。
求人もしてないようだし、あわよくばこのまま私と長坂さんでここの仕事をリードしてもらいたいような空気さえ漂わせている。
「会社もうまいよな……」
車に乗るなり、長坂さんはそうつぶやいた。
「俺が東京を抜ければ嫌でも笹嶋が全部背負ってさらに必死になるのが分かってるんだろう。仙台がフヌケな状態になった所に俺みたいな猛烈社員を入れたら、それなりに引き締まるし」
この人がこんなに語るのはめずらしい事で……何と答えたらいいのか分からない。
「ねえ、遠藤さんはどう思う?」
「いえ、どう……と言われましても」
私の計算ではあと数ヶ月で東京に戻る予定なのに。
このまま仙台留まれなんて言われたらどうしよう。
これが私の本音だけど、長坂さんに言えるはずがない。
「タバコ吸っていい?」
車のウィンドウを半分開けて、長坂さんが一本のシガレットを口にくわえた。
営業の人はほとんどスモーカーだ。
吸ってないのは男性では綾人ぐらいじゃないだろうか。
「ええ、どうぞ」
「こういうのに頼らないとストレスが際限なく溜まるんで……どうしようもない。弱い人間だよ」
なるべく車内に煙が溜まらないように外に向かってフーッと息を吐く。
その横顔がシャープすぎる彼の顔をより厳しく見せて、何だかゾクッとする。