Only You
 ホテルから涙ながらに送信したメールは、何ヶ月も私が書き溜めたのが嘘のようにあっという間に送信されてしまった。
 万が一を考えてパソコンを持ってきていて、私は最初からエルにメールをしようとしていたのかもしれない。
 綾人本人を前にしたら言えなくなる弱気な心を、エルになら打ち明けられるんじゃないかって思ってた。

 これは本当におかしな事なんだけど。

 私は誰よりエルを信頼している。

 そのエルと同一人物の綾人に、何故かメールという方法でしか本心が打ち明けられなくなっていた。
 一緒に暮らしていた頃は二人が完全に一緒になっていたから不一致を感じなかったけれど、体の距離が開くと同時に綾人がどんどん遠くへ行ってしまったように感じて、エルに必死で助けを求めていた。

 あの弱気なメールをもっと早く送信していれば、綾人は戻っておいでって言ってくれたのかもしれない。でも幻滅されるのが怖くて、どうしても出来なかった。
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