迷える狼 VS 迷える子羊
走って来たであろう足音と共に
ふいに誰かから声をかけられた。
声からして男の人・・。
きっとこの見事なこけ方につられて声をかけたのかな?

私は恥ずかしいやら他人に声をかけられた事への緊張で
顔を伏せたまま答えることが出来なかった。

「おい?キミ?大丈夫か?答えることも出来ないほど痛いのか?
どこか怪我でもしたのか?」

その男の人は真剣そのもので声をかけてくれているみたい。
だけど、人見知りが激しい私は

「大丈夫です。怪我もしていません。」

とそっけなく答えるだけ。
なのに、声をかけてくれた人は

「そうか、大丈夫か・・・。
けどな~・・う~ん・・
ちょっと待ってな?」

そう言ってどこかに走っていってしまった。
・・・たぶん・・・。
顔をずっと伏せたままにしていたから音だけしか聞いていないけど・・。

このまま座り込んでいても身体が冷えるだけだし、帰ろう。
そう思って立ち上がりかけたとき

【ふわっ】と何かが私の身体を包んだ。

え?なに??
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