佳人な先生
「私は高校へ
 入学して
 瑞城先生が顧問の
 情報処理部に
 入りました・・・」


やっぱりまだ

ダメだ・・・。


涙があふれそう

になるのを

必死に堪えた。



「・・大丈夫。
 無理しないで。
 時間はたくさん
 あるから・・・
 また落ち着いてから
 ゆっくり話して
 くれればいい。」


「はい・・・。」



「今日は天気もいいし
 少し散歩でも
 しましょうか。」


芹沢さんはそう言って

微笑みながら私の

返事を待っている。


「はい・・・。」


私も一生懸命

微笑み返し返事をした。


2人で外へ出て

近くの公園を散歩した。


噴水が太陽の光で

キラキラ輝いていた。


芹沢さんは

私の歩く速度に

合わせてゆっくり

歩いてくれた。


「そういえば」


私の口から自然と

言葉がもれた。


「ん?」


「一度だけ
 瑞城先生と2人で
 学校の外に出たことが
 あるんです。
 瑞城先生も
 芹沢さんと一緒で
 足が長い人だったから
 付いていくのに
 苦労しました。
 今、芹沢さんが
 私に歩く速度を
 合わせてくれているのを
 感じて思い出しました・・・。」



「そっか・・・。
 男としてよくないね(笑)」




「そういう先生でした。
 あまり寄せ付けてくれない
 雰囲気というか・・・。
 けど、ちゃんと生徒のこと
 考えてくれているのは
 伝わってきてましたから・・」



「そう・・・。
 少なくとも、生徒のことを
 ちゃんと考えてくれていたと
 君に伝わっていたのなら、
 よかった・・・。」


そう言った芹沢さんは

遠くを見る目で

空を見上げていた。


私も青くキレイな空を

遠い目で見つめた・・・。
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