佳人な先生
帰り道。

私はカバンから

お守りを取り出した。


高校3年目の春

瑞城先生と

神社に行って買った

ウマのイラストの

入ったお守り。


私の手元には

先生の思い出の品は

これしかない・・・。



それも自分で買ったもの。



『形見が欲しい』


と頭に浮かんだけれど


それを望むことは


私の中で


瑞城先生の死を


受け止めると

いうことになる。


受け止めなきゃ


いけないと


頭ではわかっていても・・・



私はやっぱりまだ・・・。




涙が出そうになるのを


ひとり


ひっそりと目を閉じて


堪えた・・・。
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