佳人な先生

少しして

月冴さんが

私から離れて


『ありがとう。』


って微笑んだ。


私も今更ながら

恥ずかしくなって

顔が赤くなってしまった。



それからもう少し

車を走らせて

１件のお店の駐車場に

止まった。


「少し早いけど
　食べれそう？」


「はい、大丈夫です。」


そう言って

２人でお店に入って行った。


和風な感じのお店だった。

私は席に案内され腰をおろす。

月冴さんは少し離れたところで

店の人と少し話しをしてから

席までやってきた。


「よく来るんですか？」


「あぁ。兄がこの店を
　気に入っててね。」


「え？」


「ん？何？」


「瑞城先生って
　和食が好きなんですか？」


「あぁ、和食派だったよ。
　僕もどちらかと言えば
　和食が好きだけど・・」


「そうだったんですか・・。」



「・・・あぁ。
　おにぎりの話し・・かな？」



「はい。」


「歯止めがきかなくなるから
　って言ってたよ。
　それでなくても
　星音ちゃんへの気持ちを
　抑えて、必死に突き放して
　いたみたいだから・・・。」


「・・・パンが
　好きだなんて
　ウソまでついて・・・。」


「よく考えたら
　変な答え方だよね（笑）
　パンが好きって（笑）
　すごく必死なのが
　伝わってくるよ（笑）」


月冴さんは笑っていた。

私もつられて少し笑った。


瑞城先生の人柄が

月冴さんを通して伝わってくる。


私はまだまだ瑞城先生を

知り尽くしていないんだなって

同時に自覚した・・・。