佳人な先生
「じ、神宮寺さん!」


思わず声を上げてしまった。



「星音ちゃん♪
 隠れてないで
 出てきなさいよ。

 私はね~
 月冴がパパの病院で
 働き出してから
 ずーっと好きだったの。
 
 わかるわよね~?
 よくありがちな
 話しよ~♪
 私と月冴が結婚すれば
 月冴の将来も
 約束されるわ~
 そして私も幸せになれる。

 それにあなた
 忘れられない人
 いるんでしょ~?
 月冴を代わりになんて
 しないでよ~ 」


神宮寺さんが

少し大きめの声で

私に話しかけてくる。


私は月冴さんの後ろに

隠れたままで・・・。


私は月冴さんの後ろから

出ようとしたけど

月冴さんが離してくれなかった。



「やめろ。
 彼女は関係ないと
 言ってるだろう。

 僕は一華のことは
 好きじゃない。
 院長に言われて
 しかたなく
 付き合っていたんだ。
 結婚も承諾もしていない
 のに勝手に話しを進めて。

 いい加減にしてくれ。

 僕は君を好きじゃない!
 愛してもいない!」




「どう・・して?
 あんなに優しく
 してくれたじゃない。
 綺麗だって
 ほめてくれて
 いたじゃない・・。」



「・・・院長の娘
 だからだろう。

 何度でも言う。
 
 僕は君を、
 神宮寺一華を
 愛してはいない!」


「やめて聞きたくない!!」


神宮寺さんが泣き叫ぶ。



「僕は君が
 院長の娘だから
 付き合った。
 別に病院がどうとか
 そういうことじゃない。

 ただ、上からの命令として
 付き合っていただけだ。
 責任を取るようなことは
 何もしていない。

 僕は君を愛していな・・」


パシッ!―――


鳴り響くビンタの音・・・。
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