佳人な先生
私はカバンから

瑞城先生の手紙を

取り出して

神宮寺さんの

前に置いた。


「月冴さんから
 聞いているかも
 しれませんが・・・。

 私の好きな人からの
 手紙です。
 月冴さんの
 お兄さんです・・・。

 私は月冴さんの
 お兄さんに恋をして
 想いを伝えられ
 ませんでした。
 
 だから・・・」



「だから月冴に
 告白しに行ったって
 言いたいの?
 月冴を代わりになんて
 しないでよ・・・。」


力なくうつむいたまま

話す神宮寺さん。


「そう・・ですね。」



「どのみち
 私と月冴には
 先が見えていたわ。
 月冴が私を好きじゃない
 ことぐらい最初から
 知ってたもの。
 けど・・・
 それでも
 よかったのよ・・・。」


そう言って

神宮寺さんは涙を流した。


「・・・ごめんなさい。」



「あなたに謝って
 欲しくなんてないわ。」


神宮寺さんは

紅茶のカップを手に取って

一気に飲み干した。


私は

かける言葉が見つからず

黙ったままうつむいていた。
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