佳人な先生
「これは兄の墓への
 地図です。
 何年先でもいいので
 行ってあげて下さい。」


そう言って

私にメモを手渡す

月冴さんに

もう微笑みはない。



ただただ・・・

悲しい顔だった。



「月冴さん・・・。」



「あなたを
 見守ると決意したことは
 今も変わりありません。
 何か困ったことがあれば
 連絡して下さい。
 出来る限り協力させて
 もらいます。」



そう言って

月冴さんはその場を

後にした。



私を好きだと

言ってくれたのは

その『借り』が

あった・・・から?



私は走り去る月冴さんの

車を見えなくなるまで

ずっと見ていた。



そして見えなくなった時



私はまた泣いた―――。
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