佳人な先生
***************
 安里 匡 視点
***************

「・・星音が
 言ってました。
 
 『借り』と自分が
 釣り合うだけの
 価値があるなら
 今の自分は
 その『借り』が
 うれしく思うって。
 
 認めようとは
 しないけれど
 心のどこかで
 芹沢さんを
 待っているんだと
 思います。」


芹沢さんは

おだやかな表情のまま

話し始めた。



「・・・僕は
 君の言葉を
 僕なりにしっかり
 受け止めて
 前向きに考えて
 みようと思います。」



「えらそうなこと
 ばかり言って
 すいませんでした。」


僕は芹沢さんに

座ったまま頭を下げた。


「いえ・・・
 ありがとう安里君。

 もう一度・・・
 星音ちゃんに
 芹沢月冴が望む
 気持ちを
 伝えてみます。」


僕は顔を上げ

2人でおだやかに

微笑んだ。



「芹沢さん。
 最後にもうひとつ
 質問しても
 いいですか?」



「なんでしょう。」


僕はずっと気に

なっていたことを

最後の質問として投げかけた。
< 209 / 217 >

この作品をシェア

pagetop