佳人な先生

瑞城先生のお墓の前に

しゃがみ手を合わせた。


後ろから少し遅れて

月冴さんがやってきた。



「瑞城先生。

　私はあなたを
　愛しています・・・。


　けど・・・
　
　あなたの代わりで・・
　　
　あなたの次でいい

　って言って
　くれるから・・・。

　
　私はこの世で
　
　１番に・・・

　月冴さんを愛して
　いこうと思います。」


私の目から

涙がこぼれ落ちる。



「星音ちゃん・・・。」



後ろから

月冴さんの

少し震えたような

声で呼ばれた。


私は立ち上がって

振り返ると

そこには

極上の涙を流す

月冴さん・・・。



「すべて話すことが
　相手の為になると
　思わないで下さい。
　私には・・・
　今の月冴さんだけで
　充分です。」



そう言って

私は微笑んだ。


月冴さんは

傘を放り出し

私を力いっぱい抱きしめた。


その勢いで私も

傘を落とし――



２人でずっと

心地よい雨に打たれていた。