佳人な先生
「・・・・。」

瑞城先生は

私を見たまま

入り口で立ち止まっている。


「瑞城先生・・・」


ようやく瑞城先生が

棚の方に歩いてきた。


「煙りとなんとかは
 高いところが
 好きとはよく
 言ったものだな。」


「・・・・。」


こんな状況でそんなこと

言わなくても・・・

自然と涙がこぼれた。


「手を貸せ。
 受け止めてやるから
 飛び降りろ。」


「!!
 無理です!!」


「無理でもやるんだ。
 そこに登った
 桐乎のミスだ。」


瑞城先生は私に

手を差し伸べながら

冷ややかに言った。


返す言葉もなく

涙だけが出てくる。


私は震えた手で

瑞城先生の手を握った。


「受け止めてやる
 絶対に。」


まっすぐな瞳で

私を見る瑞城先生。




私は

その

きれいな顔で

まっすぐな瞳で

見つめられたら

何でもできそうな

気がします・・・



私は瑞城先生の胸に

飛び降りた。
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