佳人な先生
あの人に出会ったのは

私が中学3年の時だった。


あの日。


私は自分が受験する

私立高校の願書を

取りにその学校へ行った。


ずっと曇り空で

雨降らないかなって

少し楽しみにしていた。


願書をもらって

駅まで歩いて

ちょうど駅に着いたころ

急に雨が降ってきた。



私は切付を買って

改札のそばで

立ち止まり

急に降りだした雨を

見ていた。



あの日の雨の音は

とても澄んでいて

ずっと聞いていたい

って思った。



その澄んだ雨の音に

混じって

雨の中を走る

靴の音が聞こえてきた。


その靴の音は

次第に近くなってきて

私の目に飛び込んできたのは




-佳人-




その言葉がふさわしい

男性だった・・・

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