佳人な先生

「今日はここまでにしよう。」


瑞城先生が言った。

気が付けば外は少し

暗くなりかけていた。


「はい。」


私は返事をして

片づけを始めた。


「そうだ。
 これを貸しておこう。」


そう言って

瑞城先生は引き出しから

子供用防犯ブザーを

取り出した。


「・・・・。」


「どうした?」


「子供用ですけど。」


「音が鳴ればどれでも
 同じだろう。」


防犯ブザーを渡されて

思わずブザーに

見入ってしまう。


ハムスターのキャラの

防犯ブザー。


「フッ。」


え?!

瑞城先生が笑った?!



顔をパッと上げた時には

すでに遅くていつもの

冷静な顔の瑞城先生だった。


「必ず返すように。」


「・・・わかりました。」



先生だって私に

ハンドタオル返してないくせに!

って思ったけど

そんなこと言えるわけもなく

私は帰路に着いた。
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