佳人な先生

夏休みも終わって

文化祭の時期がやってきた。

文化祭準備期間中

学校側からクラブ活動は

自粛ということとなり

週に２回を１回に

すると瑞城先生に言われた。


私は放課後の空いた時間は

クラスの出し物の

準備に参加していた。


「桐乎さん♪」


「ん？」


同じクラスの

水元（みもと）さんに

声をかけられた。


「桐乎さんって
　情報処理部よねぇ？」


「そうだけど？」


「お願いがあるんだ♪」


「お願い？」


「うん♪
　実は瑞城先生にさ～
　うちのクラスの
　カフェに客寄せで
　来て欲しいんだよね～♪
　座っててくれるだけで
　いいんだけどダメかな？
　お願いするだけでも
　お願いしてみてくれない？？
　お願い！」

私を拝むように

頼み込んでくる水元さん・・・


「うーん・・・
　けど、私
　別に瑞城先生と
　仲がいいわけじゃ
　ないんだよね・・・。
　部活って言っても
　授業の延長状態で
　雑談とか勉強以外のこと
　話したことなんだよ。」


「そうなの？」


「部活でも
　あのまんまだよ？」


「・・・
　なんで部活やってるの？（笑）」


「なんでだろう（笑）」



言葉にすることで自覚してしまった。


私と瑞城先生の距離は

ずっと一定で、少しも縮まったり

していなかった。


「まぁ声かけるだけでも
　お願いしていい？」


笑顔でお願いしてくる

水元さん。



「うん、わかった♪」



私もつられてニッコリ笑って

調子のいい返事を

ついしてしまった・・・。


瑞城先生に勉強以外のこと

話せるかな・・・


ちょっと怖い。


次のクラブは２日後。

私は一気に緊張してしまった。