佳人な先生
「あの・・・
 よかったら
 これどうぞ。」


「え?」


その人は少し驚いた

ような顔で私を見た。


やっぱりとても

きれいな顔立ち。


「いや、
 濡れるから・・」


「かまいません。
 ハンドタオルなんで
 そんなに大きく
 ないんですけど・・」



私はニッコリ微笑んで

さらに前にハンドタオルを

差し出した。



「・・・ありがとう。」



その人はそう言って

優しく微笑んでくれた。



私からハンドタオル

受け取って

スーツやカバンを拭いていく。



私はじっと見て

いるわけにもいかず

その場を立ち去ることにした。



背にしていた改札に

切付を通してホームに

向かった。

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