佳人な先生

ホームで電車を待った。


時間帯のせいもあってか

ホームには私１人。



そしてまだ雨は

降り続いていた。



「君！」


呼ばれて振り返ると


さっきの人が駆け寄ってきた。


「タオルを
　洗ってから
　返したいんだが・・・」


困ったような顔で私に言った。


私はにっこり微笑んで言った。


「いえ、気にしないで
　下さい。
　濡れたままでも
　かまいませんよ。」


「いや、そういうわけには・・」



電車が到着すると

アナウンスが流れた。


「それじゃあ
　願掛けさせて下さい。
　私、今度この近くの
　高校を受験するんです。
　合格して通うようになれば
　この駅を毎日使うようになります。
　だからそのハンドタオル
　次に会った時に返してもらえませんか？　
　返してもらえるように
　受験がんばりますから。」


「・・わかった。
　合格できるように
　祈ってるよ。」


お互い静かに微笑んで

私は到着した電車に乗り込み

ホームにたたずむその人に

頭を下げた。

その人も軽く頭を下げてくれた。



それが私と先生の

運命の出会いだった・・・