君が教えてくれたのは、たくさんの奇跡でした。
「ふふ、2人とも上手よ」







愛おしそうに、俺達が描いた絵を眺める。



絵描きさんより上手ね、そう言う母さんだったけど、その口から、"画家になれるわよ"という言葉は、一度も出てこなかった。










俺達が進むべき道は、もう決まっていた。



大人が敷いたレールの上を、ひたすら歩く。こっちだよ、と誘導されながら。



どこかで間違えば、即、さようなら。俺達兄弟は、いつも完璧を求められた。




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