龍太郎一味のご無体な学園生活
天神学園校庭。

その片隅。

「よし、それでは今日の稽古はこれで終わる、礼っ」

「「有り難うございました!」」

中国拳法部顧問、老師の李 龍娘の声で、龍太郎と橘 拓斗(たちばな たくと)は頭を下げる。

拓斗はアップリケの付いた空手着に黒帯、龍太郎は先日のタイマントーナメントでボロボロになってしまった為に新調した空手着、黒帯は以前からのものだ。

「龍太郎君、今日も居残りで稽古?」

「おぉ、俺はもうちょっとやってから帰るわ」

そう言って立禅(りつぜん)の姿勢をとる龍太郎。

「僕も付き合うよ」

律儀に龍太郎の隣に立つ拓斗だが…。

「馬鹿、おめぇはバイオリン妹待たせてんだろ?」

大きなウサギのぬいぐるみ・五所川原を抱えた小動物みたいな拓斗の妹、橘 花音(たちばな かのん)の顔を思い出す龍太郎。

「拓斗は早く帰ってやれよ、じゃねぇと俺が必殺の『五所川原ろーりんぐぶろー』かまされちまわぁ」

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