龍太郎一味のご無体な学園生活
校庭の片隅。

「ろ、老師っ!」

擦り切れ、ほつれ、クタクタになった空手着姿の拓斗が声を上げる。

随分と馴染んだ黒帯も、今ではすっかり締め慣れた。

「ゆっくりしてて下さいって言ったじゃないですか!何かあったらどうするんです?大事な体なのに!」

「何を言うか、全然余裕だ。何なら組手でもしてみるか?」

ギュッと拳を握り締める龍娘。

だが引き締まった彼女の体は、今ではすっかり妊婦のそれになっている。

トレードマークのチャイナドレスも、今はお休み。

奥方からプレゼントされたマタニティな服装になっている。

「なんてな…冗談だ。フリッカージャブや猛虎硬爬山を腹にでも食らわされたら敵わん…今の橘の拳を、私は回避する自信がない」

龍娘らしくない気弱な台詞。

しかしその表情は、愛弟子の成長に嬉しげでもあった。

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