龍太郎一味のご無体な学園生活
気がつけば、いつの間にかリングの端だった。

あんなに広いと思っていた特設リングなのに、もう逃げ場がなくなっている。

ハァハァと呼吸を荒げ、龍太郎は拓斗を見た。

軽いステップを踏みながら、龍太郎から視線を離さない拓斗。

(…成長しやがって)

追い詰められているにもかかわらず、どこか嬉しいような不思議な気分だった。

龍太郎の修行に付き合い始めた頃。

拓斗は龍太郎と話す時、どこか目を逸らしがちだった。

自信のなさの表れ、自分が対等ではないと思っている事の表れ。

お前は舎弟なんかではなく親友だと言い放った後もしばらくそんな態度が続き、龍太郎は少し苛立つ事もあった。

だが共に修行を続け、組手をするようになって、独自のファイトスタイルを確立した頃から。

彼は真っ直ぐに龍太郎の目を見るようになった。

自分の実力に自信を持つようになると同時に、龍太郎を対等の親友として認めてくれるようになった。

龍太郎はそう感じていた。

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