龍太郎一味のご無体な学園生活
奇妙な龍太郎の発言に、翡翠は怪訝な表情を見せる。

まるで敗北を認めたような台詞。

負けず嫌いなこの男が、奥義を繰り出す前から敗北を認めたのか?

「…失望したぞ、丹下」

彼とて疲労困憊。

しかししっかりとマットを踏み締め。

「夕城流奥義…川蝉翡翠…!」

爆発的な突進から、蒼く碧い刃を閃かせて川蝉の嘴を繰り出す!

その発動、まさに神速。

何者も、この刺突を止める事は出来ない。

誰もがそう考えただろう。

だが。

「臥龍、力貸せや!」

龍太郎は裂帛の気合と共に吠える!

「雄々々々々々々々々々っっっっ!」

その叫び、龍の嘶き。

リングに僅かな亀裂が走り、大気が震動し、観客達はその咆哮に身を竦ませ、震え上がる。

それは稀代の剣豪、翡翠すら例外ではない。

まさしく臥龍の咆哮。

聞いた者が震え、竦み上がり、一切の自由を奪われるという龍の雄叫び!

発動途中の奥義すら止めてしまうほどに、その咆哮は絶対的!

そんな翡翠に龍太郎は活歩で間合いを詰め。

「旦那…こんな形で勝ちを掻っ攫う事…許せ」

二発目の浸透勁で、翡翠の意識を完全に断ち切る!

崩れるように倒れる翡翠。

昨年の覇者が、紅の戦場を制した剣豪が、遂に一匹の若き龍の前に陥落した。

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