龍太郎一味のご無体な学園生活
そんな風に必死で何かを伝えようとする雪菜に。

「…有り難うございます」

誠一郎は無表情、抑揚なく、しかし精一杯の感謝の言葉を伝えた。

彼とて長い間、他人に疎まれ、嫌われて生きてきた身。

人の善意や優しさなどには慣れていないのかもしれない。

だがそういう人間だからこそ、いつかは他人の心の痛みに敏感な人間として成長できる。

「ゆっくり…馴染んでくれるといいです…ね」

愛がそっと、アルベルトの手を握りながら言った。

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