龍太郎一味のご無体な学園生活
ガサッ!と草木を掻き分けるような音。

同時に伸びてきた大きな手が、アンの華奢な体を鷲掴みにした!

「くっ!」

微かに声を上げるものの、回避し損ねた。

節くれ立った無骨な手によって捕まえられるアン。

すぐに脱出を試みようと、手に拳や肘打ちを叩きこむものの、手の持ち主はまるで堪えた様子を見せない。

「うへへへへ…美人の女見つけたぁ…オデの嫁っ子にするだぁ…」

茂みの中から姿を現した手の持ち主。

青黒い体毛を持つ猿。

猿といっても見かけだけで、その大きさは熊…しかもヒグマ…いや、北米に生息し、最大級の個体は体重が450キロ以上に達するというグリズリー級の巨躯だった。

これが山子。

龍太郎達が闘った魑魅魍魎の頭目・狒々よりも遥かに大きな人外だ。

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