龍太郎一味のご無体な学園生活
ただじゃれ合っているだけの、日常の学園の朝。

しかし、この学園が平凡だと思った時点で、既に騙されている。

例えばこの肩口までの蒼い髪を持つロシア娘·アリスカの手にあるバイオリンケースの中身が、バイオリンではなく狙撃銃ドラグノフだと言ったら信じるだろうか?

「あ、おはようございまぁす」

「…皆さん…おはようございます…」

校庭を横切る所で挨拶を交わした無口無表情、灰のツナギ姿の用務員、小岩井 防人(こいわい さきもり)が元幽霊の死神だと言ったら信じるだろうか?

「おぉ、今朝も皆元気そうだな」

女子生徒達に歩み寄ってきた黒髪シニヨン、派手な赤いチャイナドレスを纏った日中ハーフの女性、李 龍娘(り ろんにゃん)が、こんな出で立ちで学園の生徒指導をやっていると言ったら信じるだろうか?

ここはそんな学園。

人間も、死神も、幽霊も、悪魔も、神も、人外も。

ごっちゃ煮状態で生活している種族の坩堝なのだ。

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