龍太郎一味のご無体な学園生活
☆春夏秋冬 渉&阿行の場合

「わたるん、わたるん」

いつものようにわたるんの背中におぶさったまま、阿行が招待状を見ながら言う。

「クリスマステロってなぁに?」

「生徒や先生方が料理や飲み物やプレゼントを持ち寄って、パーティーをするイベントだそうですよ?あまりの乱痴気騒ぎぶりから、パーティーではなくテロと名付けられたとか」

真面目に丁寧な口調で阿行に説明するわたるん。

「ファミチキもあるかな?」

「ファミチキどころかクリスマスチキンが来ると思いますよ?昨年のクリスマステロの料理も相当豪華だったという話ですから」

「私はファミチキがいいなぁ…(`・ω・´)」

豪勢なチキンよりもコンビニグルメを選ぶB級嗜好な阿行。

「わたるんは何食べたい?」

「いえ、僕は皆さんが賑やかに騒いでいるのを見られれば、食べるものは何でも…」

「駄目だよーヾ(o`ε´o)ノ))☆ペシペシ」

阿行がわたるんの背中でジタバタ暴れる。

「ちょ…阿行さん…そんなに暴れたらたゆんたゆん大きいのが後頭部に…」

「わたるんは今まで辛い思いいっぱいしたんだから、クリスマスもお正月もいっぱい楽しい思いしなくちゃ駄目なのー」

賑やかに騒いでいるのを『遠巻きから見ている』のではなく、『その輪の中に』いなければ。

それが阿行の願いであり、天神学園の仲間達全員の願い。

「騒々しいのは、あんまり得意じゃないんですけどね…」

そんな枯れた事を言いながら、それでもわたるんは嬉しそうに微笑んだ。

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