龍太郎一味のご無体な学園生活
そして、そんな種族の坩堝で一目置かれている男子生徒がいる。

午前8時27分。

始業3分前。

その男はまだ天神学生寮の自室で爆睡していた。

「起きて下さぁい、遅刻ですよぉ」

部屋の外から、学生寮女性管理人の喜屋武 ペイン(きやん ぺいん)が部屋のドアをノックする。

が、起きる気配なし。

「もぉ…」

野暮ったいロイド眼鏡をクイッと押し上げた彼女は、指先に光を灯す。

どういう原理なのか、一般常識を持つ人間ならば目を疑う場面だが、ここはそういう学園なので『魔力の光』という描写のみで納得していただきたい。

彼女はその指先で宙に幾何学模様の魔方陣らしきものを描くと、その中に手を突っ込み。

「えいっ」

その腕を抓り上げる。

魔方陣を通す事で、痛みを数十倍に増幅させて対象の相手に与えるという『痛みの魔法』。

朝から洗礼を受け。

「い゛ぃぎゃあぁぁあぁぁあぁっ!」

一目置かれている2年生の男子生徒、雛菊の弟である丹下 龍太郎(たんげ りゅうたろう)は飛び起きた。

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