スキ×スキ=ダイスキ☆
そういえば、結婚してから少し後、綾人がひどく酔って帰ってきた事があった。
とおりがかりのヤンキーを一人殴ってやった、と言っていたけど、酔っているからうそだと思って信じなかった。
「で、でも、そんな事で・・・!」
「ッハ!なんか悪ぃかよ」
「!」
私の中で何か黒い大きなものが渦巻いているのが分かった。
殺意。
私はとっさに、玄関の淵にあった、土器を手にとって上にあげた。
「お、おい、待て!」
振り下ろそうとした。
『待て。』
「え・・・?」
声がした。
聞き覚えのある・・・しばらくきいていなかった声。
私は土器を落とした。
大きな音をたてて割れた。
「綾人・・・?」