スキ×スキ=ダイスキ☆

そういえば、結婚してから少し後、綾人がひどく酔って帰ってきた事があった。

とおりがかりのヤンキーを一人殴ってやった、と言っていたけど、酔っているからうそだと思って信じなかった。

「で、でも、そんな事で・・・!」

「ッハ!なんか悪ぃかよ」

「!」

私の中で何か黒い大きなものが渦巻いているのが分かった。


殺意。


私はとっさに、玄関の淵にあった、土器を手にとって上にあげた。

「お、おい、待て!」

振り下ろそうとした。



『待て。』



「え・・・?」

声がした。

聞き覚えのある・・・しばらくきいていなかった声。

私は土器を落とした。

大きな音をたてて割れた。





「綾人・・・?」





< 40 / 45 >

この作品をシェア

pagetop