春の風 舞い散る桜 奏でる音楽
「今日から2-Bの担任になる、香坂紗季です。社会を担当します。
みんな、1年間よろしくね。」

先生は黒板に名前を書いた。

「な、飛鳥。香坂って新任?」

先生に聞こえないように、
こそっと飛鳥に尋ねた。

「そうみたいだな。24って言ってたし」

「ふぅん…」

若い先生は、熱血が多いからな…。
めんどくせぇ。
でも、香坂…紗季だっけ?
この先生は、熱血っぽくないな…。


「じゃあ、出欠とるわよー」

香坂先生は、名簿を開いた。

「相坂斗真さん…岡崎穂波さん…柿沢はるかさん…神村千歳さん…桐野隼人さん…」

「近衛飛鳥さん」

「はぁい!!先生よろしくー」

俺の隣で飛鳥が返事する。

「よろしくね、近衛くん。」

先生は、にこっと笑って、
再び出欠を取り始めた。

「斉藤愛依さん…志水康介さん…白井翔さん…瀬尾瑞希さん……田島彼方さん」

「…はい」

俺は、聞こえるか聞こえないかくらいの声で返事した。

「──────これで、全員ね。ぁ、そうそう。
このクラスに転校生が来ます。
難しい編入試験をパスしてきた、優秀な女の子よ。入って。」

先生に促されて、
女の子が入ってきた。



「黒澤花音です。」
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