泣き虫な王子様
『雫ちゃん…。』

「どうしたの?一希くん…」
急に理科室に呼ばれたあたし。

『僕…パパの仕事の関係で引っ越すんだぁ…』

「そうなの!?どこに…?」

『遠い所だって…』

「一希くん…寂しいよぉ。」
あたしは、この時初めて一希くんの前で涙を流した。

『雫ちゃん…泣かないで?』
気付いたら、一希くんの唇とあたしの唇が重なっていた。

ファーストキスだった。

好き…とも言えず、ただ、時間だけが進んでいった。



数日後、一希くんは引っ越してしまった。


泣き虫な一希くんは、引越しの日も泣き虫だった―――
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