ヤコとYシャツとマサくん
「ヤコさん、足、上げて」
「え、うん…」
クロックスを脱ぎ去り、女王様のようにモコモコの靴下を脱がされ。
わたしの右足がヒールに。
ひんやり。
でもぴったり。
そこにハマるのが当然のように。
「はい左も」
「うん」
マサくんの肩に手を置き、左足をハイヒールに滑り込ませる。
視界が、高くなった。
女性なら分かるよね。
1cm高くなるだけでも、見える世界が違ってくる。
吸い込む空気が違ってくる。
なんだか、
嬉しくなってくる。
「ヤコさん、似合うよ」
「本当に羨ましい‼」
キラキラと目を輝かせるキマさんと、
「パリコレ行けますよ‼」
私を見上げる小柄なユマさん。
あ、二人ともいい人なのね。